ボール
7秒前あなたに話しかけたけど今これ君に伝えてるから
いつまでも小慣れぬ吾はわんわんとうるさいわんわん子犬はかわいい
わたしには体と心と内臓と 心は内臓だったっけかな
真っ暗かもしくは青だらけのとこにボールを投げて生きていきたい
セミってさ夜は鳴かないんじゃないのってわたしが聞いてたあれはだれなの
宇宙遊泳禁止区域
ポリ袋ひらけば対のカブトムシ「もしも世界にふたりなら」ってやつ
ゴミ処理の熱でホットなプールにて一心不乱にクロールのママ
おばあちゃん暑いしお墓に水まくね 骨壷で溺れ死んだらダメよ
高尾山夏の体験キャンプにて弾けたカエルの内臓の夢
猪苗代夏の全国合宿で傷だらけの子とマックでランチ
中元と歳暮の時期のみ吾の事思い出しては抱きにくる人
幼子の花火にひかりを灯すため慣れぬマッチを擦っているきみ
だんだんと夏すら好きになっていく きっと好きって思い出のこと
カメレオンプリティ
「かわいくて華奢でなくってゴメンね」と 彼を睨むはカメレオンプリティ
飴よりも長く甘くて終わらないしかもふたりで舐められる傷
ほんとうに言いたいことなど一つもない うそですわたしの名前を呼んで
塔までの徒競走すら終えられず 水平線の答えもわからず
秘密入りのリュックサックを背負ったままあなたと犬を散歩させたい
卑屈さの煮こごりのような歌を聴き腹を下して泣いていた夏
わたしよりかわいい男に囲まれて日に焼けていく青春の日々
この島にわたしを待ってる人がいて旅立ついい日はシフトがあるな
顔
朝から顔のことずっと考えてた。人に…実体があるのは…不思議だ…
日曜の午前中はすぐに終わる。いつも通りの週末。今週は子どもの名前の話をした。わたしが子どもを育てる前、どんな名前を用意するだろう。きっと明るい名詞の名前をつける、あさひとか、みなととか。広くて青くて明るい名前。それはどうしてなんだろう。わたしは人生のなにをよきものだと思って、その名前を用意するんだろう。
きのう調べたら野花には「紙で作った花、主に葬式用のものをさす」って出てきて、まあそんなものだよなって思った。だれかに与えられる希望ってそういったような裏表のあるもの。わたしは自分の名前が好き。
雨降りになる日曜日ラジオから千切れるほどのアフリカンシンフォニー