カンビールノート

毎日むずかしくてむずかしくて本当にたのしい

ボール


7秒前あなたに話しかけたけど今これ君に伝えてるから

いつまでも小慣れぬ吾はわんわんとうるさいわんわん子犬はかわいい

わたしには体と心と内臓と 心は内臓だったっけかな

真っ暗かもしくは青だらけのとこにボールを投げて生きていきたい

セミってさ夜は鳴かないんじゃないのってわたしが聞いてたあれはだれなの



いつを生きている


少年の心がなんだふざけるな こちとら幼女だプラ板すんぞ


わたしたちはもう取り返せない過去を追いかけたり、あのころの夢を生きていたり、いまを生きるのは本当に難しい。なぜならいまだけがないから。ものすごい速度の前に立ちすくむしかないから、いまではない時間軸のために生きてしまったりする。遠いっ日のっ昨日に〜〜である。

エゴとやさしさのさかいめをつま先でゴシゴシしながら最大限に善くありたくてがんばっている

宇宙遊泳禁止区域


ポリ袋ひらけば対のカブトムシ「もしも世界にふたりなら」ってやつ


ゴミ処理の熱でホットなプールにて一心不乱にクロールのママ


おばあちゃん暑いしお墓に水まくね 骨壷で溺れ死んだらダメよ


高尾山夏の体験キャンプにて弾けたカエルの内臓の夢


猪苗代夏の全国合宿で傷だらけの子とマックでランチ


中元と歳暮の時期のみ吾の事思い出しては抱きにくる人


幼子の花火にひかりを灯すため慣れぬマッチを擦っているきみ


だんだんと夏すら好きになっていく きっと好きって思い出のこと


肝硬変

膨らんだ伯父との最後のやりとりはベイスターズの60ゲーム差


おばさんのおしゃれな服と真っ白なチャッピーちゃんに火を放つ伯父


結婚を許されず母に土下座する兄をみていた17の父


子を持たず わたしに初めてマニキュアを与えてくれた横浜の伯母


缶ビールあけ放つとき思い出す おじさんなにを忘れたかったの?

みなとまち今は遠く


パパからもライン来ないしママからも電話こないしばあちゃんいきてる

この星で一番の美味があると聞き吾ら飛び乗るMM線

やすらかな気持ちになるのは犬たちと未来の天気に文句を言うとき

俺なんか見たって明日生きてるかわからないよと成分表は

菌たちを殺せないからチューブ入り納豆なるもの手にできぬ吾

黙ってる 言いたいことがあるときは長い睫毛を心で抜いてる


カメレオンプリティ


「かわいくて華奢でなくってゴメンね」と 彼を睨むはカメレオンプリティ

飴よりも長く甘くて終わらないしかもふたりで舐められる傷

ほんとうに言いたいことなど一つもない うそですわたしの名前を呼んで

塔までの徒競走すら終えられず 水平線の答えもわからず

秘密入りのリュックサックを背負ったままあなたと犬を散歩させたい

卑屈さの煮こごりのような歌を聴き腹を下して泣いていた夏

わたしよりかわいい男に囲まれて日に焼けていく青春の日々

この島にわたしを待ってる人がいて旅立ついい日はシフトがあるな


朝から顔のことずっと考えてた。人に…実体があるのは…不思議だ…


日曜の午前中はすぐに終わる。いつも通りの週末。今週は子どもの名前の話をした。わたしが子どもを育てる前、どんな名前を用意するだろう。きっと明るい名詞の名前をつける、あさひとか、みなととか。広くて青くて明るい名前。それはどうしてなんだろう。わたしは人生のなにをよきものだと思って、その名前を用意するんだろう。

きのう調べたら野花には「紙で作った花、主に葬式用のものをさす」って出てきて、まあそんなものだよなって思った。だれかに与えられる希望ってそういったような裏表のあるもの。わたしは自分の名前が好き。



雨降りになる日曜日ラジオから千切れるほどのアフリカンシンフォニー