死なない方がわたしはうれしい
おばあちゃん、94年も生きちゃって友達みんな死んじゃったし。今のことは全然覚えてないし。「友達と今」ってわたしの人生でメッチャ大事なふたつなんだけど、おばあちゃんはどっちも夢の中にしかもうなくても、おばあちゃんは生きてるの
すんごい退屈らしいんだけど。寝てるしずっと。でもわたしが来たらうれしいんだって、わたしのことが好きだから。
わたしもおばあちゃんのことよく知らないけどけっこう好き。おばあちゃんは同じ話しかしない。もういない友達との思い出をなんども教えてくれる。おじいちゃんのことを少しだけ話す。可愛がった長男は先に死んで、次男の嫁がわたしのママ、孫がわたし。それがおばあちゃんの今。
市井のわたしとたったひとつのわたしの毎日。軍需会社で船の図面を引いていたおばあちゃんの青春。